飯島太千雄 ≪ 著  書 ≫

15.『般若心経の道』

1993年2月、弓立社刊(ハードカバー・2400円)・慈光寺刊(A4、68P、ソフトカバー1000円)

般若心経の名品8点を大きくカラー影印し、解説する28Pの口絵と、心経史を考究する論考・38Pとで成っている。
日本の心経史は、これまで全く解明されておらず、多くの謎や不明を積み残したまま今に到っている。

論考の項目は「玄奘訳心経の存疑」「隅寺心経の謎」「玄ムが広めた般若心経」「心経関連年表」「心経校異表」「心経資料一覧」に分け、そうした疑問への明確な推論を果たしている。一例を挙げれば、日本の心経だけが、なぜ「遠離一切顛倒」と「一切」が加えられているのか。この一千数百年間の疑問に答を出しているのは本書のみである。
各種の資料と共に、向後の心経研究には絶対的な基本文献である。弓立社版は絶版で、慈光寺版が同寺(埼玉県比企郡都川村西平386、電話0493−67−0040)で発売されている。なお、本書に収めた8点の名品心経は、慈光寺の心経堂と山内に2メートルに及ぶ大きな美術陶板として、飾られている。慈光寺は、装飾法華経の名品「慈光寺経」を所蔵する関東屈指の古刹で、東京から2時間もせずに行ける風光明媚な山寺。

撮影/飯島太千雄
制作/書玄